2013.03.15更新

こんにちは。



ワン子と暮らしていると、少し歳を取ってきた頃にふと

身体にイボのような、できものを見つける事があります。

この「イボ」、似たような見た目をしていても正体は様々。

ただの毛包炎のような腫瘍ではない吹き出物のようなものだったり

腫瘍でも毛母腫や組織球腫、基底細胞腫といった良性のものから

ホクロの癌とも言われるメラノーマや肥満細胞腫のような悪性のものまで。

今回の患者さんはライゾウ君。



とっても気の優しいビーグル犬です。

この子の背中には直径2cmくらいの大きなできものがありました。

どうやら、けっこう前からあったようで、

初めて拝見した時すでに切除適応ではありましたが

恐らくは毛母腫とか、そういう類の良性の腫瘍であろうという事から

しばらく様子をみているうちに、

どうも少し大きくなってきているようだと。

ライゾウ君も気になるのか、このできものを噛み始めたため摘出する事にしました。





術前の様子ですが、この時点で直径はおよそ3cm、

さらにこの腫瘍の皮下は赤線の部分で分厚く腫れていて、

本当は背骨に平行になるように切除したかったのですが、

その腫れ方からやむを得ず垂直になるように切開しました。




メスを入れてみると、予想以上に腫瘍の下の腫れは広がっていたようで

腫瘍の下に広がった膿瘍の一部を傷つけてしまって、膿が溢れてきました。



これはすでに切除した後ですが、

取り去った皮膚の下の組織にはなんの異常もありません。




皮膚の下の皮下織と真皮層を縫合しているところです。

こういう、身体の動きなどから皮膚へのテンションが高い場所の縫合ではこの、

真皮をちゃんと縫合できていないと、後々になって傷が開いたりする事があるので

しっかりと、丁寧に縫合していきます。



最後に皮膚を縫合して終わりです。

ライゾウ君の場合、理想的な方向での切開ができなかったため、

抜糸までの期間は念のために長めに設定して、

先日無事に抜糸を済ませました。

因みに病理検査は行っていませんが、腫瘍の正体はやはり毛母腫のようで、

中は大量の膿と、少量の毛や垢が詰まってました。



これだけ大きな腫瘍になるともう、外科的に摘出する以外に方法がないですが

もっと小さな、直径5~6ミリくらいまでの「イボ」なら

期間限定にはなりますが今度、たぶん6月頃に

無麻酔で診察中に処理できる機械が当院にやってきます。

興味のある方は一度ご相談ください。

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