こんにちは。
今回は猫の乳腺腫瘍についてです。
また、少し勉強しておきましょう。
猫にも乳腺腫瘍があるの?
乳腺腫瘍は乳腺組織が腫瘍化することで起こる病気です。
女の子のニャン子に多く認められる腫瘍で、
生後1年以内に避妊手術をする事で乳腺腫瘍の発生を
85%以上抑える事ができることから、
ワン子と同じく性ホルモンの影響がある腫瘍です。
乳腺腫瘍はニャン子がかかる腫瘍の中で 3 番目に多い腫瘍で、
ワン子と違いおよそ9割が悪性だといわれています。
原因は?
発症の要因として、女性ホルモンやその他のホルモン、
遺伝的体質などの影響があるといわれています。
避妊をしていない中高齢以上の女の子のネコちゃんで、
乳腺腫瘍の発症率が高いことが知られており、
女性ホルモンは発生の要因になっているといわれていますが、
ワンちゃんと違ってネコちゃんの場合避妊手術を行っていても
乳腺腫瘍が発生することがあります。
また、男の子のネコちゃんも、
まれに乳腺腫瘍になることがあるので注意が必要です。
どんな症状?
乳腺組織に「しこり」ができます。
胸や脇の下、下腹部、内股までの乳腺に複数ヶ所
できる場合もあり、
悪性腫瘍の場合は腫瘍の増殖とともに
皮膚が破け出血や壊死を起こしたりします。
また、リンパ節や肺や肝臓などの他の組織に
腫瘍が転移する場合があります。
治療は?
早期発見、早期摘出が重要となります。
良性腫瘍では、早期摘出で経過が良好な場合が多いですが、
悪性腫瘍では、摘出しても再発や他の組織に転移をすることがあり、
経過が悪い場合もあります。
手術で摘出する治療以外に、抗がん剤治療や放射線治療を
行なうこともあり、
またそれらの治療を手術と組み合わせて行なう場合もあります。
当院でも、摘出して病理検査の結果が悪性だった場合、
術後1ヶ月以内に抗がん治療の開始をお勧めしています。
予防できるの?
発症には女性ホルモンの影響があるといわれているため、
若いうちに避妊手術をすることが望ましいでしょう。
避妊手術をしても発症することがあるため、
日頃からネコちゃんの体をこまめに触ることを心がけ、
「しこり」がみられた場合は、早めにかかりつけにご相談ください。
ここからまた、手術の画像です
太っていて判り辛いですが、右側の乳腺にしこりがあります。
第一乳房から切開しているところです。
ごらんのように、犬と比べて出血量が少ないです。
これは、猫の皮膚の血管が犬に比べてあまり発達していないからですが
そのためこのような広範囲の皮膚切開をする場合には、
術後の血行障害による癒合不全にも気をつけないといけません。
全部摘出し終わったところです。
やはり、出血が少ないです。
マットレス縫合を施しつつ皮膚を縫合して終了です。