院長からのお便り

2016.02.05更新

突然ですが

寒いですね。

暖房器具が心の友的な昨今ですこんにちは。

さて先日、診察中の事ですがファンヒーターの不燃ガスによる中毒の

疑いがある子がきました。


思い起こすに、今からもう20年ほど前

最初の代診先で出会った事例ですが

年始早々でしたけれど、

ミニチュア・ダックスフントを飼ってらっしゃる方で、

なんでも前年の暮れ頃から、飼い主さんが帰宅すると決まって、

その子が吐いてしまうという事で

「何か、私がこの子に嫌われるような事をしたんでしょうか」

と、

一人暮らしのOLさんでしたけども、

とても悲しそうに相談をされた事があります。

確かに、

精神的なストレスからくる嘔吐と言うものもあるでしょうが、

それで片付けてしまうには飼い主さんが可哀相で。

症状が出始めた時期の事とか、

いつも飼い主さんが帰宅して30分くらいの間に

嘔吐が起きること等、細かく確かめていって、

「もしかしたら、
 ファンヒーターをつけた時に灯油臭くないですか?」

と試しに、帰宅してからファンヒーターをつける時に、

十分に換気をしてもらうようにお話したところ、

これが見事に的中していたらしく
(獣医としてそれで良いのか?という疑問は残りますが・・・)

後日飼い主さんから喜びの電話を頂きました。

彼女にとっては、ワンちゃんの嘔吐が止まった事よりも、

嫌われてたわけじゃなかったと言う事のほうが

嬉しかったようですけれど。



似たような事例で、

これは夏場の話ですが。

長いこと心臓病を患っていたミニチュア・シュナイザーで、

飼い主さんがある日、

いつもの心臓病の薬を貰いに来た時に

「いつも暑い日に限って変な咳をしたり目やにが酷くなる」

というお話をされました。

心臓病を患っている犬にとって、夏場の暑さは

最も気をつけなければいけないストレスの一つなんですが、

当時の私もてっきりそのせいだと思ったんですね。

でも、よくよく話を聞いてみると、

暑いのでエアコンをつけて部屋を涼しくしていると症状が出るとの事。
飼い主さんに「風邪でしょうか?」と聞かれて、

私も気管支炎か何かかも知れないと思ったんです。

で、いつもの心臓病の薬に加えて、

気管支炎の薬を5日分ほど調合してお渡ししたんですが。。

後日お話を伺ってみると、

薬を飲ませても全く効果が無いとの事・・

そこで思いついたのがエアコンでした。

エアコンのカビが原因じゃないか?と思ったので

その旨お話してみると・・・

なんと

その飼い主さんは、

私の何気ない一言で思い切ってエアコンを

新しいものに変えてしまったそうです^^;

それから次に見えられた時に

「嘘みたいに症状が治まりました!」と。

それはもう、大変喜んでおられましたが、

当時の私は、何の確証もない私の戯言にさらっとエアコンを買い換えて

しまった事に衝撃を受けたのを覚えています。



この他にも、例えば加湿器で使っていたアロマが原因での中毒とか、

今はあまり見かけませんが噴霧式の芳香剤が原因だったりとか

古くなった掃除機の通風孔から、

カビやハウスダストまみれの空気が吹き出していたりとか。


私達ニンゲンのための生活用品の中には、

場合によっては一緒に暮らす動物に害を与えてしまう事があるんですね。

投稿者: 博多北ハート動物病院

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